「この人は何を言いたいんだろう」——店舗で磨いた想像力が、経営の中枢で武器になった。
Profile
経営企画部 サステナビリティ推進室 係長 下山
9年目社員。店舗にて3年間の店舗勤務を経て、経営企画部へ異動。2023年よりサステナビリティ推進室に。
ESG情報開示、統合報告書作成、広報業務、社長秘書を担当。2022年には育児休業も取得。
「経営企画部って何をするところですか?」——正直、異動の辞令を受けた時、私自身もよく分かっていませんでした。畑違いに見えるキャリアをつないでいるのは、店舗で毎日のように鍛えた「相手が何を求めているかを想像する力」でした。これは、店舗で過ごした3年間が、本部の仕事を支える武器に変わるまで——店舗を出た「その先」の物語です。
"カメラ好き"ではなかった。でも「自分しかいない」が私を変えた
入社して、東京都内の店舗に配属されました。3年目の頃、カメラコーナーの担当を任されたんですが、実は元々カメラが好きだったわけじゃないんです。コジマの店舗のほとんどはワンフロア、またはツーフロアになっており、様々なジャンルの家電製品がひとつのフロアに集約されています。そのため、エアコン担当でもカメラやテレビのご相談に応じたり、炊飯器の接客を行ったりすることもある。店舗でいろんな商品に向き合う中で、カメラをお求めのお客様にもしっかりご案内できるようにと勉強を始めて、そこから少しずつカメラが好きになっていきました。
カメラコーナーは専門性が高く、自分よりも詳しいメンバーが他にいなかった。「自分がやらないと」、その責任感が私を動かしました。
カメラコーナーをお客様が見られていたら自分から積極的に声を掛け、接客に当たりました。私が休みの日も他のメンバーがカメラの接客をしやすいように、自分がいなくても回る売り場を作ることを意識しました。本体・レンズ・SDカードのセット商品を、すぐ手に取れる場所に準備しておく。売り場をいつも見やすく整えておく。そうすれば、誰が対応してもお客様に気持ちよくお買い物をしていただける。「自分がやらないと」から始まった責任感が、いつの間にか「チームで支える」発想に変わっていきました。
もちろん、最初からうまくいったわけではありません。新入社員の頃は、長い時間をかけて一生懸命お話ししても、「ありがとうね」と言って帰ってしまうお客様もいらっしゃいました。転機になったのは、当時の店長代理の一言です。「今のは、ただ話をしたいお客さんだと思うよ」。その言葉を聞いて、お客様の温度感を読み取るコツが掴めた気がしました。「この人は何を求めているんだろう」と想像する力。この「想像力」の重要性に気付かせてくれた仲間やお客様との時間が、私の店舗時代の大切な財産です。
主任になった翌月、突然の本部異動——ワクワクの方が大きかった
そんな店舗での日々が、ある日、思いがけない局面を迎えました。入社して4年目のゴールデンウィーク明けのことでした。突然、人事の方から電話が来ました。「来週本部に来れますか」と。
事前情報がほとんどないまま本部に行って面談を受けました。その後すぐ「経営企画部に来ないか?」と内示を受け、返事をした1週間後には経営企画部に着任していました。本当に怒涛のスケジュールでしたね。
でも、不安よりもワクワクの方が強かったんです。お店で3年間働いて4年目、「もっとやれる」という手応えはありつつ、「他のこともやってみたい」という気持ちもあった。だから内示を受けて「分かりました。行きます」と、真っ直ぐに返事をしました。親に相談したら「経営企画部は会社の中枢なんだから、行った方がいいんじゃない」と。妻からも「行ってみたら」と。自分でも何をするかよく分からないけど、とりあえず行く——そんな気持ちで、本部に飛び込みました。
朝9時半から夕方4時半まで缶詰——英語の質問書と格闘する日々
異動してからは経営企画部の業務に追われ、2023年からは新たに発足したサステナビリティ推進室へ。現在は情報開示、広報業務、そして社長秘書を担当しています。
サステナビリティ推進室とは
コジマが環境・社会・ガバナンス(ESG)にどう取り組んでいるかを社内外に開示する部署です。また、新聞・テレビ・ラジオなど、メディアの取材対応を通じて、当社の取り組みを分かりやすく発信する役割を担っています。
海外の格付け機関への対応、統合報告書の作成、テレビ・ラジオの取材対応まで——。会社の「見え方」をつくる、経営の中枢を支える仕事です。
中でも特に根気が求められるのが、海外の格付け機関から来るアンケートへの回答です。「あなたの会社は環境問題にどう取り組んでいますか?」——そんな質問が、すべて英語で届きます。しかも、相手は日本の会社の事情を詳しく知らない方々。私たちにとって当たり前にやっていることでも、きちんと言葉にして伝えなければ評価してもらえません。
外部のコンサルタントの方と朝9時半から夕方4時半まで会議室に「缶詰」状態になって、それを繰り返して、やっと回答が出来上がる。「相手が何を知りたいのか」を想像して、伝わる言葉に変換していく。これ、実は、店舗でお客様に商品をご案内する時の発想とまったく同じなんです。
お客様が洗濯機の前に立っていたら、「この人の家族構成は?」「どんな生活リズムだろう?」と想像するところから接客が始まりました。相手も場面も変わりましたが、「目の前の人が何を求めているかを想像して、自分の言葉で届ける」という根っこは同じ。形は変わっても、店舗で鍛えた想像力がそのまま武器になっていると感じています。
ヒヤッとすることもあります。秘書業務でダブルブッキングしてしまった時、「申し訳ございませんでした」と素直に伝えて、その後の調整までやり切る。間違いを認めて、対応もしっかり——これは経営企画部やサステナビリティ推進室に異動してからも変わらない、店舗時代から続く姿勢です。
道はちゃんとある。だから、まずは目の前のお客様を
本部にチャレンジするチャンスは、本当にたくさんあります。ただ、本部に来ることがゴールではない。お店でたくさん売って販売のスペシャリストになる。店長代理から店長、ブロックマネージャーへと店舗運営の階段を登る道もあります。どれも、立派なキャリアです。
ただ一つ言えるのは、店舗での経験こそが、その先のすべての土台になるということ。毎日違うお客様と接する中で鍛えられる想像力、瞬発力、対応力——これは机に向かう仕事では得られないものです。
道はちゃんとあります。だから、まずは目の前のお客様を。そこからすべてが始まります。お会いできる日を、楽しみにしています。